こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
先般、城めぐりの旅「城ぶら」で、北条早雲ゆかりの城、伊豆の韮山城跡を訪れました。
※そのときの記事はこちら。
ここ韮山には、日本が世界に誇る「世界遺産」があります。
それが、2015年7月に世界文化遺産に登録された「韮山反射炉」です。
今日の夢中は、明治日本の産業革命遺産、韮山反射炉をぶら歩きします。
■明治日本の産業革命遺産
韮山反射炉は、2015年7月に世界文化遺産に登録された、「明治日本の産業革命遺産」の一つです。
明治期の日本は、西洋技術を積極的に取り入れ、急速に産業化を進めました。
その契機となったと言えるのが、1840年のアヘン戦争。中国の半植民地化を目の当たりにした日本は、欧米列強に対抗するために軍事力強化に大きく踏み出しました。
幕府において、その献策を行ったのが、韮山代官の江川英龍(えがわひでたつ)です。
韮山代官というのは、伊豆・駿河・相模・甲斐・武蔵にある幕府直轄地の支配を担当する行政官です。
(江川英龍像)
この江川英龍さんが、稀代の傑物でした。
彼は、西洋砲術の導入や台場の設置、海軍の創設、西洋式の訓練を施した農兵制度の導入など、一連の海防政策を幕府に進言。
そのうちの一つが、鉄製大砲の導入であり、その鋳造に必要とされたのが反射炉でした。
1853年のペリー来航を受け、幕府は海防体制の抜本強化を決断。江川英龍に、反射炉と品川台場の築造を命じます。
そこから試行錯誤を重ねながら完成したのが、連双2基4炉の反射炉本体と関連施設からなる韮山反射炉です。
ときは1857年。すでに英龍は世を去り、息子の英敏の代のことでした。
■韮山反射炉
そんな韮山反射炉をぶらり散策。
伊豆箱根鉄道伊豆長岡駅からシャトルバスで5分ほどのところに韮山反射炉はあります。
入館口となるのが、韮山反射炉ガイダンスセンター。
ここで、まずは、韮山反射炉の歴史や仕組みなどについて、映像で理解を深めます。
その後、ボランティアガイドさんの案内のもと、敷地内を見学。
やっぱり圧巻なのは、どーんとそびえ立つ反射炉です。その高さは15.7メートル。
反射炉とは、金属を溶かし大砲などを鋳造するための溶解炉です。
内部の天井がドーム状になっているのが特徴で、石炭などを燃料として発生させた熱や炎を炉内の天井で反射させて、一点に集中させることにより、鋳物鉄を溶かすことが可能な千数百度の高温を実現します。
(左が鋳物鉄投入口、右が石炭投入口)
溶けた鉄は、炉床の傾斜により出湯口に向けて流れていく構造となっていて、一つの炉で溶かすことのできる鋳物鉄の量は約2~3トンであったと言われています。
まさに、日本の近代化を大きく進めた重要な産業革命遺産。
ここ韮山反射炉をはじめとする明治日本が進めた産業革命は、日本を植民地化から救い、50年余りという短期間で産業化を成し遂げました。
韮山反射炉は、稼働を終えたのちも150年以上にわたり、補修や修理を重ねながら大切に保存されてきました。
実際に稼働した反射炉として国内で唯一現存するものです。
ありがとう、韮山反射炉! ありがとう、江川英龍さん!
■基本情報
名称:韮山反射炉
所在地:静岡県伊豆の国市中字鳴滝入268
アクセス:伊豆箱根鉄道駿豆線伊豆長岡駅から徒歩25分、乗り放題シャトルバス「歴バスのる~ら」(土日祝日+平日の指定する日に運行、300円)5分
料金:大人:大人500円、子供50円(15歳以下)
営業時間:(4月~9月)9:00~17:00 (10月~3月)9:00~16:30
休館:毎月第3水曜日(国民の祝日の場合はその翌日)