こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
日本で初めて鉄道が走った区間を歩くたび。
長かった旅も、いよいよゴール地点です。
■桜木町駅
ついに来ました、150年前の横浜駅。今回の旅の終着点、桜木町駅!
つい先ほど醒めた万感の思いが、ふたたび胸に熱くこみ上げてきます。
桜木町って、そんな鉄道にゆかりの深い、歴史的な駅だったんですね。
一大開発ゾーン、みなとみらい地区の入り口として、比較的新しい印象だったんですが。
そんな桜木町駅に着いてびっくり!
駅前広場に掲げてあるのは、開業当時の桜木町駅、すなわち当時の横浜駅の姿。
こんな看板、あったっけ?
何度も来ている場所のはずなのに、これまでまったく気づきませんでした。
1887(明治20)年頃の横浜駅(現桜木町駅)前を撮影したものだそうです。
見た目は、出発地点の旧新橋駅とそっくりの、洋風の2棟の館。
こうした煉瓦造りの洋風駅舎が、近代化の証だったのかもしれませんね。
■駅舎内の鉄道開業メモリアル
そして、その時代からさらに近代化した現在の桜木町駅のなかに入ると…。
改札口のすぐ目の前にも、鉄道開業を偲ばせるものがありました。
多くの人が行き交う傍ら、駅舎を支える柱に、鉄道開業にゆかりの品々が展示されています。
これもまったく気づかなかった。。。
そう言えば、桜木町駅、ちょっと前まで工事してたから、それで出来たのでしょうか。
展示されているのはこんな品々。
まずは、「鉄道敷設最初之予算」。
エドモンド・モレルが調査した東京~横浜の鉄道建設予算メモだそうです。
レールや土木工事など英ポンド建てで見積もっています。
これを契機に、当時の明治日本は、新しい産業への夢を託して鉄道敷設を決定します。
それを記した「布告全書」なんてのも展示されていました。
さらには「神奈川付近の建設風景」なんて貴重な写真も見れます。
港の間近に駅をつくるという当初の目的のもと、横浜の湾岸部が埋め立てにより鉄道敷設されたことが分かります。
そして、迎えた鉄道開業の日。
1872(明治5)年10月14日、新橋~横浜間が正式に開業します。
この日は、鉄道開業を記念した式典列車が走りました。その乗客がスゴイ!
3号車:明治天皇、三条実実(太政大臣)、井上勝(鉄道頭)ほか
4号車:西郷隆盛(参議)、大隈重信(参議)、板垣退助(参議)、後藤象二郎(左院議長)、各国公使ほか
5号車:井上馨(大蔵大輔)、勝海舟(海軍大輔)、陸奥宗光(租税頭)、山県有朋(陸軍大輔)ほか
ほかにも、渋沢栄一(大蔵省)、大久保一翁(東京府知事)、徳川慶勝(従一位)、毛利元徳(従二位)、島津忠義(従三位)ら。
それだけ鉄道にかける思い入れは強かったのでしょう。
まさに新しい産業への夢を乗せて、明治の鉄道は、新橋~横浜を走ったことになります。
この夢の実現に尽力した、「日本の鉄道の恩人」エドモンド・モレルと、「日本の鉄道の父」井上勝。
彼らなしには、この偉業は成し遂げられませんでした。
当時の制服などの懐かしのコレクションも展示されています。ノスタルジーありますね。
あらためて万感の思いが湧き出ます。
■「鉄道創業の地」記念碑
万感の思いを胸に、桜木町駅から関内方面へ少し歩きます。
桜木町駅近辺の喧騒から離れた陸橋の下、緑の樹木に囲まれた場所に、ひっそりと「鉄道創業の地」の記念碑が建っています。
レールの素材と同じ赤茶色の鉄の塔。
すでに錆びが進んでいて、読みにくいのですが、そこにはこのように記されています。
鉄道創業の地
我が国の鉄道は、明治5年(1872年)旧暦5月7日、この場所にあった横浜ステイションと品川ステイションの間で開通し、その営業を開始しました。
わたくしどもは、当時の人の気概と努力とをたたえ、このことを後世に伝えるとともに、この伝統が受け継がれて、さらにあすの飛躍をもたらすことを希望するものであります。
昭和42年10月14日
社団法人横浜市観光協会 鉄道発祥記念碑建設特別委員会
新橋の「0哩(マイル)標識」をスタートしてから約3カ月、めざす横浜に地に建つこの記念碑の前に立つと、なんとも感慨深いものがあります。
ここに来てあらためて思います。当時の私たちの先祖はすごかった。
開国間もない頃、奇跡的なスピードで列強をキャッチアップし、鉄道をはじめとした近代技術を採り入れ殖産興業を進めました。
新しい産業、新しい国をつくりたいという夢と気概が、いまの日本の礎を築いたと言えるでしょう。
そう言えば、新橋の「0哩(マイル)標識」からこの旅をスタートするときに、こんなことを思ったっけ。
無理かな?いや、君ならできる!
だって、烏帽子・はかま姿の先人たちのDNAが刻まれてるんだから。
(そのときの記事はこちら。)
そうそう。僕でもできた。だから君にもできる。
小さいことでもいいから、最初の一歩を踏み出すことができれば、意外とやれるのかもしれませんよ。
ありがとう、明治の先人たち!ありがとう、旅の夢!
ありがとう、「日本ではじめて鉄道が走った区間を歩くたび」を読んでくれた皆さん!
…次の旅は、ふたたび0哩(ゼロマイル)から。どんな旅になることやら。楽しみ楽しみ。