こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、横浜の金沢八景駅の近くにある「瀬戸神社」と「琵琶島神社」です。
■瀬戸神社
金沢八景駅のほど近く、幹線道路沿いに、この瀬戸神社はあります。
その創建は、鎌倉時代(平安時代末期)にさかのぼります。
伊豆で挙兵した源頼朝が、静岡県三嶋大社から伊豆三島明神を勧請したのが、瀬戸神社の始まりです。
頼朝はその後、社殿の造営を行うなど、瀬戸神社を篤く敬いました。
鳥居をくぐると、目の前にその社殿がそびえます。
ここに源頼朝もお詣りしたと思うと、歴史好きとしては、ちょっと体温が上がります。
現在の社殿の建造は1800年ですが、その景観は、鎌倉時代の創建当時を残しているそうです。
祭神は、三嶋大社と同じ、大山祇命(おおやまつみのかみ)。
三島さまとも呼ばれる勝ち運や出世の神様です。
源氏をはじめ、執権北条氏、足利氏、小田原北条氏、そして徳川将軍家など、歴代の関東武将たちの信仰を集めました。
本殿だけでなく、その両脇には、多くの摂社・末社があります。
なかでも、岩山を切り開いた社にはパワーを感じます。
白狐が凛々しく鎮座していますから、稲荷神社でしょうね。
すぐ脇は京急線の線路が通っているのですが、こんな岩山が残っていることすら驚きです。
頼朝がこの神社を創建する前から、この地は神聖な場所として、海の神を祀っていたようです。
目に前に平潟湾が広がりますが、昔はここに湾につながる水路があったと言われています。
干満のたびに海水が流れ入り、そして流れ出ていったことから、罪を流し去るものとして信仰されたのだとか。
この瀬戸神社に参詣に訪れた鎌倉三代将軍源実朝は、次の歌を献詠しました。
わたつみの 瀬戸のやしろの神垣に ねがひぞ満つる 潮のまにまに
目をつむると、鎌倉時代の潮の音が聞こえてきそうな、荘厳な社です。
なお、歌人としても知られる将軍・源実朝は、その後、養子である公暁に暗殺されました。
■琵琶島神社
瀬戸神社の鳥居を出て正面、平潟湾に突き出た堤の先端に琵琶島神社があります。
この琵琶島、島の形が琵琶に似ていることから呼ばれたと言われます。
もとは海中にあり、島とは橋で結ばれていましたが、現在は陸続きになっています。
その円形の琵琶島に、瀬戸神社の摂社、琵琶島神社が鎮座します。
こちらの神社は、源頼朝が伊豆の三島明神を勧請して瀬戸神社を創祀したのにならって、妻の政子が近江の竹生島から勧請した弁財天を祀っています。
弁財天は、音楽・技芸の神様ですが、頼朝・政子が流人の身から将軍に立身出生したことから、立身弁財天とも呼ばれています。
参道入口の右側に「福石」があります。
源頼朝が瀬戸神社参拝のため、平潟湾で禊(みそぎ)をした時に衣服を掛けた石なので、「服石」と言われます。
また、この石の前で物を拾うと福に授かるということで「福石」とも言われるのだとか。この日は残念ながら落し物はありませんでした。
金沢八景の一つ「瀬戸の秋月」は、この辺りの夜景の美しさを称えたものです。
瀬戸神社と同様に、風流な和歌がありますので紹介します。
よるなみの 瀬戸の秋風小夜更けて 千里のおきに すめる月かけ
こちらは江戸時代の武人・歌人の京極高門の和歌です。
この日は初夏の風に吹かれての参拝でした。
額に汗をにじませながら、頼朝・政子夫婦の願いがどのようなものだったんだろうなぁと、遠く思いを馳せました。
ありがとう、瀬戸神社&琵琶島神社!