わらに巻かれた男が水をかけられ法螺貝を鳴らす!?奇祭”水止舞”

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、7月14日に東京大田区で行われた「水止舞」(みずどめのまい)を紹介します。

■水止舞

日本にはいろんな奇祭と呼ばれる変わったお祭りがありますが、この祭りもその一つに入るでしょう。
「水止舞」(みずどめのまい)。毎年7月14日、東京大田区の厳正寺(ごんしょうじ)で行われるお祭りです。

水止舞は、今から680年前に起源をもつ、長雨を止ませた龍神に感謝の舞を捧げる祭事です。
時は1321年、武蔵の国(現在の関東辺り)が大干ばつに見舞われたとき、住職が水の神とされる龍像をワラで作って祈祷し雨を降らせました。

しかし2年後には逆に長雨が続いて田畑が流出するという事態が発生します。
今度は住職は獅子の仮面をつくって「水止(しし)」と命名。それをを農民にかぶらせて、舞や太鼓、法螺貝などを演奏させて龍神にお祈りしました。
すると、黒雲が消えて太陽が出て晴れ渡ったのだとか。そのときから、人々は感謝の舞いとして「水止舞」を捧げているそうです。

都の無形民俗文化財にも指定される、680年もの歴史を持つ由緒あるお祭り。
それがなんで「奇祭」を呼ばれるのか。

それは、この写真を見ると分るでしょう。町内の掲示板に貼られた水止舞の案内です。

異様な光景…。
す巻きにされた男が道に転がされ、水をかけられながら、法螺貝を吹いています。

どんな祭りなんだろう…。そんな好奇心に駆り立てられて当日、厳正寺に向かいました。

■水浸し

2018年7月14日。
東京の空は、水止舞を祝福するかの如く、晴れ渡りました。猛暑です…。

昼過ぎに厳正寺に向かうと、もうすでにお祭りは始まっていました。
遠くから歓声と悲鳴が聞こえてきました。…ん?歓声はわかるけど、悲鳴?

その理由はすぐに分かりました。
人だかりができている先に、青空に向かって撒きあがる大量の水。

法被を着た若者がバケツの水を次々に空中に撒いているのです。
水を浴びせられているのは、そう、す巻きの男です。

ただ、おそらく雨を模倣しているためか、水は空高くに撒かれるため、周囲も皆水浸しになります。
私も決死の覚悟です巻きの男を撮影しようと近くに行った途端、水の直撃を受けました。
どうやら、カッパや濡れても良い服装など水濡れ対策を開催側は勧めていた模様です。知らんがな…。

このす巻きの男は、龍神役です。彼らは水をかけられるたび、喜びの証として(?)法螺貝を吹きます。
これは水止舞の祭りの一つで、「道行」という儀式なんだそうです。
す巻きの龍神は、数メートルずつ進んでは、威勢よく水を浴びせられ、その都度、法螺貝の音が響きます。

その龍神に続き、牡丹の花が飾られた「花籠」や主役の凛々しい「獅子」たちが続きます。
こちらは水を浴びせらることはないですが、この猛暑の中、なかなかキツそう。。。

■獅子舞

さて、す巻きの龍神は、「道行」の役目を終えると、境内の設営された舞台で藁縄を解かれます。
藁縄を解くことが龍神の死、すなわち雨止めを表すとされるのだそう。
そうか、龍神様は昇天されたのですね。なんともハードな道中でした…。お疲れさま。

その後、舞台では獅子舞「水止舞(みずどめのまい)」が奉納されました。

花籠二人を従えた赤い面の雌獅子と、黒い面の若獅子・雄獅子の三匹の獅子が、舞台上で笛や唄に合わせて舞いを披露。

はじめての出会いを表現した「出羽の舞」や、3匹の獅子が仲良く舞う「大若女・水止舞」など、素晴らしい舞いが披露されました。

最近、西日本でいたましい水害がありました。
ふたたび災害に見舞われないことを切に祈ります。この舞いが、日本全国津々浦々まで届きますように。

ありがとう、水止舞! お疲れ様、す巻きの龍神様!

■水止舞2018開催要項

名称:水止舞(みずどめのまい)
日程:2018年7月14日(土)
時間:13:00~15:00
場所:厳正寺(ごんしょうじ)

アクセス:京浜急行「大森町駅」徒歩約8分

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